新たな777日目
思い出というのは、ぼくの身体のどの辺にしまってあるのだろう。楽しいこと、悲しいこと、喧嘩したこと、寂しかったこと、とろけるようなこと、まだまだ一杯あるはずだ。ずっと一緒だから、ガルボの分まで合わせるとこの身体ではしまいきれないのではないか知らん。おまけに、今日だって、明日だって、これからもずーっと増えていくに決まっている。ぼくはずぼらだから、そんなすべてをいつでも取り出せるように整理してなんかいない。でもそれがいつでもすっと取り出せて、そのことをぼくが話すと、ガルボも、「ああ、あれね」と云いながらすっと同じものを取り出して、いつの間にか、もっと楽しい思い出に書き換えられている。なんて、素敵なんだろうといつも感心してしまう。同じ思い出は、ぼくたちふたりの宝ものなのだ。生物を勉強中の大学生マットと16歳の少女ルイザだって同じだ。ふたりだけの宝ものを持っている。これは1960年のオフブロードウェイ初演から、なんと50年に渡って世界の至るところで上演され世界最長上演記録を更新中のミュージカル「The Fantasticks」のなかでの話。「♫思い出してごらん あれは確か9月 人生の時はゆっくりと豊かに流れていた」、「♬9月のことを思い出してごらん きみは若く まだウブだった そのときのことを もし思い出してくれたなら その思い出を追いかけて」と歌う。挿入歌「Try to Remember」の一節だ。ガルボと手を繋げば、このふたりのように、ぼくたちの思い出をずとずっと追いかけててゆける。それに、もっといいことには、今日は777と並んでいる。どんな思い出ができるか、期待してもいいだろう。

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