新たな639日目
これだけ澄んでいると、天空の窓が開け放たれているのではないだろうかと思ってしまう。陽が西に傾いて斜めになった光は、それでも優しく圧してくる。その力なのだろうか、全開にした窓に吸い上げられる空気は、立冬を過ぎ気温が下がってきたとはいえ、肌を切りはしない。ぼくはここで、樹木の影でできたアンテナを使い、空のもっと向こうに話しかけてみる。ガルボは、ぼくたちがこの通路に乗って、いまから離陸するのではないか知らんと期待しながら、ぼくを見詰めている。ここは千夜一夜物語を引き合いに出さなくても、ガルボがイメージしていることくらいは分かる。魔法の絨毯、確かにそれは、思い通りにあっという間に移動できるのだから、あればさぞや楽しいだろうし、ソロモン王のそれのように、絹製で緑色の生地に金色の横糸が入っている豪華版だったら、誰だって欲しいに決まってる。でも、ぼくは魔法は使えない。もしも、ここから離陸できるのだとしたら、それは空の向こうの誰かが差し向けてくれたシャトルが、たまたまぼくとガルボが座っているこの通路だったというだけのことだ。続けてぼくは話しかける。交信を容易にするように、風は息を潜めて、様子を窺う。誰が指令したでもなく、鳥たちは家に帰る準備を中断し、羽音ひとつ立てずに樹々に止まっている。気が付けば、時間が緩やかになっている。不思議な感覚、体験したことのない感触で鼓膜が振動を始める。そろそろだ。誰だって想像を超える能力が備わっているのに、それを知らないだけだ。こんなになって、家人に出掛けることを伝えておかなかったことが、唯一気掛かりになってきた。陽の歩調に合わせて、アンテナもぼくたちの影も、すでに動き始めている。
この記事へのコメント
ほんと、青空が気持ちいいですね。
大阪もいい天気です。
空、飛びたいですね~。
こんなに晴れた日に空を飛んだら、さぞや、とつい思ってしまいますよね。
今日のお話!
とっても不思議な心地よい思いにさせてくれるワン!
マッサンの作ったウイスキーに酔ってる様な!
メルヘンだワン! ナイス!
カーテンになる予定のお写真☆
良いお天気で、気持ち良さそうですね~。
こちらは曇りで、今も小雨が降って少し寒いです…。
明日も良い一日をお過ごし下さい~。
ウイスキーに酔っとるようなとか云われると、こっちまでええ気持になるんじゃけぇ。(JAKE)
壁紙!カーテン!
そんなにまで云われたら、魔法の絨毯をお送りしなくてはいけませんね。
ずっと晴れていたので、夜は夜で、月を楽しめましたが、そちらは、雨でしたか?
大地に仰向けに寝て、雲の流れるのを見ていると、俗事の煩わしさのことなど忘れてしまいます。
自然には、身体や心のシミを洗い流し、リセットしてくれる力がありますよね。
ぼくたちは、この後直ぐに飛び立ちました。