新たな660日目
冬隣の風は、そよとは云えず、ときには、被毛を逆立てます。とはいえ、それが止むと、まだ心地よい暖かさが残っていて、自ずと眠りに誘われます。家人がギンナンを炒っているのでしょうか、仄かにその香りが鼻先に届くと、黄色く色付いたイチョウ並木が浮かび上がってくるのです。近頃は、このイチョウ並木を歩くひとが、路上に落ちたぎんなんが放つ匂いが不快だと自治体に苦情を寄せていると聞きます。舞い落ちた葉とぎんなん、それぞれが合わさって黄色い絨毯となり、暮れ行く秋を演出するのに、なんでこんな無粋なことを云うのでしょうか。犬は好きだけどあの動物臭は嫌、薔薇は花は好きだけどトゲがあるから嫌い、大草原に寝転んで空を見上げたいけど虫がいるから嫌などと云っているようなものです。どれだけ馬鹿げたことでしょう。そのくせ、焼き鳥屋なんぞで串に刺したギンナンを見ると、わたしこれ大好きだとほざくのです。土瓶蒸しにはギンナンが入ってなくちゃあ、と知ったような口をたたきます。その口にギンナンを入れて、イチョウ並木は秋の風物詩だわ、大好きよ、なんて粋人のようなことを宣います。ポンッと弾けた音が聞こえました。ギンナンが炒り上がった頃合いです。そろそろ熱燗の2合徳利とそのあてのぎんなんをお盆に載せて、家人がわたしの傍にやってきます。黄金の一粒を口に放り込み、ごくりとぐい飲みの酒を流し込むのでしょう。三玄窯・中里重利の斑唐津です。イチョウの一葉を皿にあしらっていますよ、きっと。
この記事へのコメント
(*≧∀≦*)人
そういえば、ぎんなん・・・しばらく食べていません・・・。
(^O^)
炒った香りがこちらまで漂ってきました~♪
(*^o^*)
燗つけなんて云わずに、こちらに来てまずは一献。
炒ったギンナンと塩しかありませんが・・。
自分で炒って食べると、一段と美味しさが増しますよ。
自然を愛でるとは、ある部分を取りだすのではなく、すべてを受け容れるということですよね。
銀杏が香ってきました。(笑)
銀杏大好きです。
勤め先の敷地内に銀杏並木が有って、9月頃から年明けにかけて、銀杏がたくさん落ちてきます。
それを拾ってきて食べるのが私的風物詩になっています。
ちょっと臭いですけど、多少の犠牲を払わないと、美味しい物は食べられませんね。
焼いて、粗塩をまぶして。。。
明日は銀杏で一杯やることにします。
自分で拾って来て、炒って、口に放り込むギンナンは、自分で釣ってきて、捌いて、食する魚のように、その来歴が定かですから、味に風景が広がり、格別ですよね。酒も勢いを増すというものです。
銀杏で
旬の味をあてに黄色い絨毯を眺めながら一杯。なんとも云えませんね。